大森八景坂地区のまちづくり|地域で取り組むまちの再生

弊社が約10年に渡り、支援してきた大森八景坂地区のまちづくりを紹介します。

当地区の位置する大森駅の西口は歴史あるまちです。
縄文時代の大森貝塚や、大正末期から昭和初期にかけての馬込文士村など、豊かな歴史・文化資源があります。

大森駅も、新橋・横浜間開業の4年後の1876年(明治9年)に開業した歴史ある駅です。

大森駅西口を出ると南北に池上通りが通っています。
池上通りは北から南に下る坂道となっており、八景坂とも言います。
かつてこの坂上からは房総までを一望でき、8つの美しい風景が見られたことから八景坂と呼ばれるようになったそうです。

まちづくりにおいては、70年以上にわたって未整備となっている池上通り(補助第28号線)を含む公共施設の整備により機能更新を図り、安全な歩行空間の確保や地域の防災性の向上に取り組むことが急務となっています。
弊社が当地区のまちづくりに関わり始めたのは2012年です。

2012年、大森駅西側駅周辺の地権者による「大森八景坂地区まちづくり協議会」が発足し、数年の検討を経て、2015年にまちづくりの目標・方向性を「まちづくり計画案」としてとりまとめ、大田区に提案しました。

この計画案の柱は以下の3点です。

①歴史・文化を活かした大森八景坂地区にふさわしいまちのイメージづくり
②駅周辺の交通の利便性を高めるまちづくり
③地権者が共存できるまちづくり

これらは、現在も進行しているまちづくり協議会の基本的な考え方となっています。

大田区は、協議会からの提案を踏まえて検討を重ね、2022年に池上通り(補助線街路第28号線)及び大森駅西口広場を都市計画決定しました。さらに2023年には事業認可を受けています。

一方、地域ではまちづくり計画案を提案した後も、都市計画の進捗を見据えて、さまざまな検討を進めてきました。

2017年には建築物や道路、広場のデザインの方針や考え方をまとめた「デザインコード」を作成しました。
サブタイトルを「人が主役の物語のあるまち」として、ヒューマンスケールな景観を形成するためのデザインの考え方をまとめました。

2018年からは「ブランディングプロジェクト」が始まりました。都市計画や景観などさまざまな要素が絡み合ってまちづくりが進んでいく中で、共通の考え方をブランドコンセプトとしてまとめることが狙いでした。
ブランディングとは常に進行し、今後も継続していく活動ですが、2024年にこれまでの検討内容を踏まえて「ブランドコンセプト」を策定しました。

ブランドコンセプトは、連綿と続く歴史や文化を継承し、大森山王に暮らす人々、来訪する人々が、楽しみながら活動できる健やかで豊かな回遊できる街を目指すという意味を込めて「快遊できる街、大森山王」となりました。

今後は、東京都と大田区で事業着手することとなり、道路や広場の設計や整備、エリアマネジメントなどの検討が進んでいきます。具体的な事業の推進へとフェーズは変わっていきますが、これまでの経緯を踏まえた公民連携のまちづくりに期待したいです。


大森駅西側駅周辺地区まちづくり検討業務など
site:大田区
since:2012〜2023年度
clients:大田区など
link:大森八景坂地区まちづくり協議会

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