川越の町並み保存は、住民主体の取り組みと文化財行政の連携により、進められてきました。
本書の前半は川越の町並みの特性や町並み保存の考え方、後半は運用開始からの10年弱の蓄積を基に「伝統的建造物郡保存地区」のガイドラインを取りまとめました。
川越の城下町が整備されたのは、寛永15年(1638)の大火以後のことです。このとき、城下を商人町の上五ヵ町、職人町の下五ヵ町、お寺を核とした四つの門前町、そして周辺の郷分に区分して計画的な町づくりが進められました。
川越の町並みを特徴づける「蔵造り町家」が盛んに建てられたのは、明治26年(1893)の川越大火をきっかけとしています。まちの復興にあたり、日本の伝統的な耐火建築である土蔵造りを採用しました。
川越の町並み保存の取り組みの特徴は、住民主体のまちづくり活動にあります。戦後の都市化の影響による町並みの変化に対し、昭和40年代後半から蔵造りの建物や町並みの保存の動きが始まりました。昭和58年(1983)には「川越蔵の会」が発足、昭和62年(1987)には「町並み委員会」が発足し、まちづくりの自主協定として「町づくり規範」を定めました。
そして、1999年に、札の辻から仲町交差点までの一番街通りを中心とした地域が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
伝建地区まちづくりガイドラインパンフレット作成業務委託
site:埼玉県川越市
since:2007
発行者:川越市
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