高校生起業家を育てるアントレプレナーシップ

こんにちは!東京事務所学生インターンの小笠原瞳子です!
今日は石デスタッフの方々のいつもとちょっと違うお仕事の様子、
そしてそこから垣間見えた私の考える石デの魅力をお伝えしたいと思います。

石デの代表的なお仕事といえば、ワークショップのファシリテーションやまちのプランニング、イベント企画など、行政の方などの外部と連携してまちを盛り上げるお仕事を想像すると思います。
しかし、今回は石塚計画デザイン事務所単体として、高校の授業の話題提供というちょっとレアなお仕事に同行してきました!その様子をお届けします!

アントレとは?

神奈川県立元石川高等学校では高校2年次に「アントレプレナーシップ」という生徒の課題発見解決能力やコミュニケーション能力の向上を目指す課題解決型学習を取り入れた授業を選択することができます。
*アントレプレナーシップの詳細はこちらをご覧ください
縁があり今季は石デがテーマを提案し、1学期をかけて高校生が班に分かれて発案、プレゼンを行いました。私は写真撮影、サポート役として1学期を通してすべての回に同行しました。

石デが提案したテーマ

まちで偶然の楽しいコミュニケーションを生み出すプロダクト開発

高校生ならではの視点でまちを楽しむ経験を考えることで、
まちづくりに興味をもったり、参画する若者を増やすことを目的として設定されたテーマです。

初回授業

初回の授業では、テーマ説明、石デの紹介、考え方などの説明を行いました。
生徒たちもグループメンバーと初対面の人もおり、終始緊張した雰囲気がただよっていました。
また、ラフな格好の私たち石デスタッフに少し驚いた様子も見られました笑

石デの説明は、生徒たちの頭にはたくさんの?(はてな)が浮かんでいるようでした。
石デの仕事に関わる「セレンディピティ」「コミュニケーション」などの概念的な言葉や、「ペルソナ」「バリュー」「プロダクト」などのビジネス用語が並び、「まちで偶然の楽しいコミュニケーションを生み出すプロダクト開発」という簡単そうで奥が深いテーマを提示され・・・私自身もこれは大学の授業か?と錯覚しました。
あとでいただいた生徒からの感想にもテーマが難しかったという声が多く寄せられました。

初回の最後の時間には早速ペルソナを考える時間が取られました。
私が大学の授業で初めてペルソナを考える機会があった時、ターゲットとは異なる、ペルソナ特有の「深い設定」に苦戦したことを覚えています。
生徒たちも同じようで年齢、性別、職業などはすんなり決まるものの、その先は手が止まっている印象でした。石デスタッフや先生からの助言を受けながら進め、少しずつ理解を深めている様子でした。

中間発表

この日は各班が2案ずつ考えてきたものをスライドを用いて石デスタッフに発表するというものでした。イラストや図をうまく用いたスライドはとてもわかりやすく、議論を重ねてきたことがよく感じられました。


しかし、「コミュニケーションを促す広場」であったり、「他人との協力が必須のイベントの企画」であったり、この段階ではこの3点の両立に苦戦しているようでした。

  • コミュニケーションの活性化  
  • 偶然性  
  • プロダクト化

具体的な指摘としては、以下のものがありました。各班石デスタッフに指摘を受け、再検討していたようです。

  • プロダクト(製品、商品)ではなく、イベントなどの企画の提案となっているので、もう少しプロダクト寄りの提案だとさらによくなると思います。
  • このプロダクトが実装されたら、自分たちが本当にやりたいと思えるのか?ということが気になりました。ペルソナである高校生に近い自分たちが本当に使いたいかな?ということを考えられるとよいと思います。
  • コミュニケーションのリアリティが欠けており、「なんとなくコミュニケーションは生まれそうだけど・・・」でとまっている部分を具体的に想像できた方がよさそうです。
  • 他の企業には真似できない高校生起業家ならではのオリジナリティがもっと欲しいところです。

期末の発表

普段より大きな教室で緊張が走る発表当日。中間発表の段階では、ジレンマに陥っている様子だった生徒たちも、テーマにいざ発表が始まると、動画や寸劇、チラシなども用いて堂々と成果を発表してくれました。
なにより驚いたのが、中間発表からの成長です。テーマをもう一度咀嚼して、自分たちの方向は変えずにプロダクトに落とし込んでおり、中間発表の指摘を聞き流すことなく、しっかりと話し合って改善したのだなあという印象を受けました。

発表題目とコメント

「PGC(パワフルギフトチャレンジ)」

筋力ゲームで商店街のお客さんのコミュニケーションを促すアイデア

TANDO

商店街は人が減ってきているので、人が来るフックとしてPGCがあるという社会的価値は、商店街側が大きく感じるはず。
そこをもっと深掘りしてけると良かったと思いました。

ベア

クマ型ロボットでコミュニケーションを促すアイデア

AIZAWA

くまのロボットの設定が詳細まで考えてあって、きっと楽しみながら資料をつくってくれたのかなと想像できて好印象でした。

Connect Love

ボールペン×デジタル×色でコミュニケーションを促すプロダクト

WAKASHIMA

プロダクトの開発自体は壮大な印象を受けるものの、ペルソナの設定からアニメイトでの物販、CMや広告などの販売戦略まで言及しているところが良かったです。

非言語コミュニケーションカフェ

音声以外のコミュニケーションの体験ができるカフェ

NOBUCHI

話ができないけど安心して過ごすことができる場所は、非常にニーズが高いと思うので、そこのマネタイズの工夫を、飲食物の提供以外の部分で考えられるともっと面白くなると思いました。

Near By

スマホリングとアプリのすれ違い機能でまちの人とコミュニケーションを取る

SATO

スマホのアクセサリで自分の個性を表現する人も多いので、商品としての展開が広げやすい印象を受けました

Find the Differens

間違い探しをつかって偶然のコミュニケーションを生み出す

AIZAWA

間違い探しという昭和からある普遍的な素材を選ぶことで、老若男女が楽しめることが良いと思いました。また、ゲーム性と「難しい」というハードルの設定がよかったです。

みんなで描こう!わたしたちの思い

ショッピングモールの多くの人が通る場所に自分たちが書いた絵を投影することができる

TANDO

話す(描く)、聴く(読み取る)それを感じてまた話す(描く)というコミュニケーションをしっかり含んでいるのがよかったです。


講評の日

発表の後日、各班の発表の中から優秀賞を選出し、発表する機会がありました。
生徒たちは、初日の緊張感が嘘のように、達成感と開放感からグループ内で盛り上がっている様子がみられました。

最優秀賞

 PGC(パワフルギフトチャレンジ)
筋力ゲームで商店街のお客さんのコミュニケーションを促すアイデア

選考理由

  • 商店街のにぎわいづくりにもつながり、高校生とまちとの接点も生まれる提案だった
  • コミュニケーションツールとして、学生も楽しめるゲームにしているところがよかった
  • プロダクトのイメージがあったり、寸劇を用いていて、わかりやすく面白いプレゼンテーションだった

他にも優秀賞2班、個人賞1名が選出されました。

石デスタッフの印象

これらを通して感じた、石デスタッフの魅力をお話したいと思います。

  1. 率直かつ的確な指摘
  2. 学生を軽視しない態度
  3. 楽しい雰囲気

1|率直かつ的確な指摘
発表後のコメントシートには「テーマが難しかった」という声とともに、「的確なアドバイスが嬉しかった」という声が多く寄せられました。今回、石デスタッフが生徒にアドバイスをする機会が多くありました。
その中で石デスタッフは決してアイデア自体を「ダメ」と否定することはなく、具体例、言葉の定義などを混ぜながら、ここはいいけど、もっとこうしたほうがいい、ここに改善の余地があるというように次に繋げながら前向きなアドバイスをしている様子が印象的でした。
これは普段からアイデアをたくさん出し、まとめるワークショップをやっていることに関わっているのかなと感じました。

2|学生を軽視しない態度
そして、なにより感じたのは、ひとつひとつのアイデアを高校生だからこんなものでしょと軽く扱うことはなく、1人の起業家としてしっかりとアイデアに向き合う姿が印象的でした。
私が高校生の時、このような機会があっても機会の貴重さに気づかなかったと思います。
大学生になって、先生でもなく、親でもない大人と関わる機会が増え、率直に自分と向き合ってくれる存在の大きさに気がつきました。
石デスタッフは私たち学生インターンに対しても、しっかりとフィードバックを行い良い点も悪い点も率直に伝えてくださるので、1人の大人として扱ってくれていることを感じます。
今回、生徒たちは、自分たちで考え、それを表現し、そんな大人にフィードバックをもらう経験ができ、きっと言葉に表すのは難しいけれど大切な力が身についただろうと思いました。


3|楽しい雰囲気
3点目は生徒さんたちから多くあった意見から感じたことです。
コメントシートには「発表中に頷いてくれたから発表しやすかった」「元気な挨拶が印象的だった」「個性的で一緒に仕事をしたら楽しそう」という声が寄せられていました。
きっと生徒の皆さんは大人が来ると聞いてもっとカタイ人が来ると思っていたのかなと思います。
私自身も初めてインターンに行った時、柔らかく楽しいスタッフの皆さんの雰囲気を魅力的に感じました。
今回のテーマにあったように、まちづくりに興味を持ってもらうには、「楽しむ」という姿勢は必要不可欠です。それをまず、マネジメントしていくスタッフが「楽しい」という印象を与えられるということは、石デの大きな強みのひとつなのかなと感じました。


今回の機会で、私自身も1人の大人として。生徒と同様の学ぶ立場として。様々なことを感じ、吸収しました。
そして、石デのみなさんの魅力も再確認することができました!
今後も石デスタッフの方からたくさんのことを吸収したいと思います!!

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