山形県北東部に位置する新庄市は、昔からの最上地域の拠点として栄えてきました。新庄市の中心市街地の少しはずれに、旧農林省積雪地方農村経済調査所庁舎(通称 雪調[せっちょう])があります。
もとは農林省積雪地方農村経済調査所という国の調査研究機関として設置され、積雪に関する調査や積雪地方における産業創出のための研究が行われてきましたが昭和58年(1983)に閉所しました。新庄市では、建物と資料などを国から譲り受け市立図書館分館として活用しながら、平成9年(1997)に生涯学習施設「雪の里情報館」としてオープンしました。新庄の雪国の歴史や文化を象徴する建物ということで、平成26年(2014)に国の登録有形文化財(建造物)に登録されました。
とんがり屋根が特徴的でかわいらしく、当時の未来を感じさせるモダンな外観の建物となっています。内部も1階は昔の学校の教室のように部屋が並んでいて、雪をテーマにした展示が常設されています。あの有名なフランスのデザイナーのシャルロット・ペリアンが新庄を訪れたこともあり、彼女にまつわる展示もあります。2階は雪調の特徴であるとんがり屋根を内側から見ることができます。
雪調を未来にわたって保存し、よりワクワクするような場所にするために、工学院大学や北茂紀建築構造事務所と一緒に「旧農林省積雪地方農村経済調査所庁舎保存活用計画」をとりまとめました。弊社では計画のうち活用部分を担当しています。若い世代も含めたワークショップやヒアリングを通じて、市民の想いをうかがいながら検討を進めました。当初の雪調の理念である雪や農村文化というテーマを生かすように、方向性や活用イメージを整理しています。
新庄市北部に位置するエコロジーガーデンなどとともに、新庄の歴史まちづくりが少しずつ着実に進んでいます。
保存活用計画策定協力業務
site:山形県新庄市
since:2021-2022
clients:工学院大学、山形県新庄市
登録有形文化財(建造物)旧農林省積雪地方農村経済調査所庁舎保存活用計画の策定について